マイルス・ディビス Autumn Leaves -譜面に書いてないことー(改)

milles  davis   枯葉

CDアルバム「Somethin’ Else」(ジュリアン・キャノンボール・アダレイ1958年)、1曲目”Autumn Leaves“.マイルス・デイビスの、フレーズ以外ののアナライズをする。手元にコピー譜があり、それを見ながら音を聞いていく。

ピッチが真っ直ぐなアタックを SA(ストレイトアタックと呼ぶことにする)、ピッチが揺れる(曲がる、しゃくり )アタックを BA(ベンディングアタックと呼ぶことにする)とする。

リハーサルマーク Bの 1 小節前からマイルス・ディビスによるテーマが始まる。トランペットの音は軽くミュートされている。 2 拍目裏A音は少しハネていて、ピッチはわずかに高めSAになっている。次のB音C音共にピッチはわずかに高めでここはBAになっている。このB音C音はリバーブなども考慮に入れて、かなり短めに十分隙間を開けて吹く。マイルス・ディビスのトランペットの音については、フレディ・ハーバードやビッグバンドのトランペットのように遠くに飛ばす音ではない。特にこの場合、かなり近く( 2 m位)の人に語りかけるように優しく、タイミングも少しタメてゆったりと吹いている。このマイルスの音、独特の雰囲気が漂っているが、これは、ピッチとか強弱、タイミングによるものではない。この雰囲気は、普通に吹いては絶対に出ることはない。簡単に言うと首から下で吹くということなのだが、禅問答みたいだ。リハーサルマーク Bの 1 小節 1 拍目 4 分音符 F 音、コピー譜にはスタッカートがついている。厳密に半分の長さではない。短めにと言うことである。こういう場合普通 4 分音符は、8 分音符 2 つに分けてはねた状態の表拍の長さにすること(裏拍は休符)が多いのだが、ここではそれより長めになっている。奏者は短く吹いているが、実際は余韻などもあり 1 拍全部まで音が伸びて聞こえる。ピッチは、はまっていて SAになっている。前小節のB音C音とのピッチとベンディングによる雰囲気の違いを確認するように。

2 小節 2 拍目裏 G 音はハネていて SA 。 3 拍目 16 分休符に続く付点 8 分 A 音は BA で、 4拍目と繋がって聞こえるが、少し切れ目を入れて吹いている。 4 拍目のスタッカートがついた 4 分 B 音は、 SA で少し低い。スタッカートがついているが、実際には、一拍より少し短い位に吹いている。切れ目は、認識できる。 3 小節 1 拍目表 8 分 E音と裏 8 分 E 音は、ハネていて、両方共 BA。表 8 分 E 音は高め、裏 8 分E 音はやや低目で、少し強弱を伴って 4 拍目の表拍まで伸びている。もちろん 2 小節・ 3 小節共にオールタンギングだ、 4 小節 3 拍目表 E 音・裏 F 音共にBAで、共に少し高め。 4 拍目の 16 分も少し高めだ。この小節、全部の音が繋がって聞こえるが、オールタンギングだ。16分音符も、少し隙間を作って吹く。それでも、十分繋がって聞こえるのだ。 5 小節 1 拍目 A ・ D ・ E の三つの 1 拍 3 連だが、E 音には、 D# の装飾音が付いている。これは、フィンガリング(バルブ)を使ったベンディングで、 D# 音でタンギングをするが、 E 音ではタンギングしない。この D# 音 ・ E音は、共に高めだ。次の2拍目 4 分 D 音は、 BA で、わずかに低い。この D 音は、譜面では、 4 拍目の裏に  8 分休符があるが、実際は 4 拍目の裏まで音が伸びている。E 音以外は、オールタンギングだ。 6 小節  2 拍目裏 B音は SA で、ハネている。 3 拍目 4 分 D 音は、少し高めで、スタッカートが付いているが、70 %位の長さになっている。これは SA だ。 4 拍目スタッカートが付いた 4 分 C 音も SA である。長さは、 3 拍目の D 音よりもやや長めである。当然、6 小節もオールタンギングだ。 7 小節 1 拍目 2 分 F# 音は、 BA で少し低い。譜面上この音は、タイで繋がって、 4 拍目の表拍まで伸びているが、実際は次の小節の頭まで伸ばして止めている。そしてこの音は、 BA の後、少しピッチを持ち上げて、緩やかに下がっている。揺れているのだ。 8 小節 3 拍目の裏から 3 つの 8 分音符 がA・B・Cと続くが、ハネていて、 3 つとも高めである。タンギングして短めに切って吹いているが、A音・B音・C音、共に繋がって聞こえる。全部 SA である。最後の C 音と、次の小節の 1拍目 F 音との間には少し切れ目がある。 9 小節 1 拍目の 4 分F 音にはスタッカートが付いていて、 SA になっている。このスタッカートが付いた 4 分 F 音は、きっちり 50 % の長さに切っているが、実際には、 75% くらいの長さに聞こえる。ピッチは正確である。 10 小節 2 拍目裏 8 分 G 音は SA 。続く 4 つの 8 分 A・B・A・G音は、 BA・SA・BA・SAになっていて、ハネており、かなり短く、切れ目を入れて吹いている。しかし、聴感上は繋がって聞こえている。 3 拍目裏 8 分 B音と 4 拍目表 8 分 A 音・裏 8 分 G 音は、やや高めになっている。 11 小節 1 拍目表 8 分 E 音は、わずかに BA である。続く裏 8 分 E 音は、 SA になっている。アタックの違いによって、雰囲気はかなりちがって聞こえるものだ。2つの E 音の間には、わずかに切れ目があって、ハネている。この2つの E 音のピッチは、共にかなり低く吹いている。2つめの E 音は、 4 拍目の 1 拍 3連の最初の音までタイによって伸びている。わずかに切れ目があって、そして 1 拍 3 連の E 音・ D 音と続いている。この小節も、オールタンギングだ。 12小節 1 拍目 三つの 1 拍 3 連、C・B・AはSA であるが、三つ目の A 音はタイで 2 拍目の 4 分と繋がっており、SA の後、ベンディングしている。 3 拍目裏 8 分 B 音は、ハネている。 4拍目の 4 つの 16 分、C・D・D#・E音は、オールタンギングである。 13 小節 1拍目 2 分 D 音は、少し遅れてアタックされている。わずかに BA である。ピッチも少し低目である。この 2 分音符は、 3 拍目の頭で止められている。

このCDにおけるトランペットの「ピッチの高い、低い」については、数セントのことであり、かなり低いと書いてある場合でも 10 セント位のズレである。そして演奏中のマイルスは、ピッチを気にしていないはずである。なぜなら、ピッチを気にしながらの演奏など聞けたものではないからだ。演奏中ピッチを気にしているようでは良い音楽は生まれない。ということは、ピッチを気にせずに演奏しても、ある程度のピッチのコントロールは出来ていなければならないのである。それには、正確なピッチの所で音がヌケていなければならない。ヌケている所で音の出る確率が圧倒的に高いからだ。そうなれば演奏中ピッチを気にしなくても正確なピッチで吹けるのだ。(つづく)

音に何かを乗せる・・・美しい音とは

音の先端(アタック)を合わせれば、2つの音が同時に聞こえるかという問題

 

 

 

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