初期のサンタナ(1969年)と ギターヘブン(2010年)のサンタナ    どこが違うのか・違わないのか?(2)

ギターの音のコントロールに関しては”ギターヘブン”(2010年)のサンタナに較べるとかなり幼い。彼のフレーズの特徴として初期に限らずチョーキングによるロングトーンが多い。アドリブソロにおいてはそれが連続する時も多く見られる。それはあたかも”フレーズなんて関係ない・・・一個のロングトーンで音楽は十分美しいんだよ。”と言っているようにも聞こえる。事実、彼はギターの音に何かを乗せることに成功し、その音の美しさを十分に感じているからそういう奏法になっていったと考えることが出来る。あくまでも想像でしかない。彼の頭の中に一個の音で十分美しいという考えがあったとすれば、積極的に速弾きのトレーニングはしなかったと考えるのが普通だ。そこで初期のサンタナから40年後の”ギターヘブン”のサンタナの間に速弾きの時期があったのかどうかだ。初期のサンタナはその後JAZZサックス奏者のジョン・コルトレーンの影響を受けたとされている。簡単にいうと複数のペンタトニックの複合とクロマチィックの複合の速吹きをギターに置き換えたトレーニングを通過したと言える。ロックの弾きやすい速弾きではなく、JAZZの弾きにくい速弾きをプロレベルで通過した時期があったということだ。しかし40年後の”ギターヘブン”の中で、サンタナが速弾きしているかというとそうではない。初期のサンタナに較べて多少速いフレーズはあるものの速弾きと言えるほどのものではないのだ。ここで大事なのは、速弾きの成果は速弾きでないフレーズにもはっきりと表れるということである。40年を経て”ギターヘブン”のサンタナは見違えるほど技術的にレベルアップしている。
どういうことなのか・(つづく)

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