同じ楽器で音域が大体同じ場合、アタックを合わせれば2つの音は同時に聞こえる。では、同じ楽器で音域ががなり違う2つの音の場合はどうだろうか。ピアノで高音と低音を同時に弾いてみる。分かり易くする為に4オクターブ位離して同時に鍵盤を押してみる。短く切った音の方がわかりやすいかもしれない。
低音の方が遅れて聞こえるのがわかるはずだ。今度は違う楽器で音域が大体同じ場合はどうだろうか。ピアノとストリングスの違いをシンセサイザーで比べることが出来る。まず、シンセサイザーでピアノの音を選択してメロディを弾く。次にストリングスを選択して同じメロディを同じタイミングで弾く。すると、聴感上の印象が全く違うことがわかる。ピアノの音に比べてストリングスの音の方がゆったりと暗く、緊張感が無く、かなり遅れて聞こえる。とてもピアノの音と同じタイミングには聞こえない。しかし、違う楽器で音域が大体同じ場合でも、楽器の音によってはアタックを合わせることで同時に聞こえることもある。そして、違う楽器で音域もかなり違う 2つの音の場合でも、やはりアタックを合わせることで同時に聞こえることもある。これらの事は、アタックを揃えれば 2つの音が同時であるというよう単純な問題ではないことを示している。
ドラムの場合、H.H,シンバル、スネア、キックをアタックを揃えて同時にヒットすると4つの音は全部ずれる。同じタイミングでたたけば、同じスネアでも普通のショットに比べてリムショットの方が遅れる。H.Hのクローズに比べてオープンの方が遅れる。同様にシンバルのライドとクラッシュではクラッシュが遅れる。タムも低音のタムほど遅れる。ドラムにおいてはH.H,シンバル、スネア、キックを同時に音を出すにはそれなりにアタックのタイミングをずらして打たなければならない。
同時に音を出すことができなければ、思ったようにずらすこともできない。ファンクにおいては、スネアのタメ、つまりずれ幅をコントロールしなければはならない。どれだけずれてもよいのではない。またテンポによってもずれ幅は変わる。ファンクらしいスネアのタメが作れるか。そして、スネアほどではないがキックも少しタメる。ドラムのむずかしさはここにある。