「Beautiful Love」における 小曽根 真 のアドリブソロのフレーズアナライズをしていく。
「Beautiful Love」は、1986年にレコーディングされた CD “Spring Is Here ” の 1 曲目に入っている。
今から 30 年前に録音され、ヴィクター・ヤング、ウェイン・キング、エグバート・ヴァン・アルスタインの三人の作曲となっている。
(譜面は一見ぼやけて見えますが、スマホの方は譜面をタッチ、PCの方は譜面をクリックで クリア に拡大できます)
1 段目。この 2 小節は Dm7 であるが、いわゆるブレイク 。ベースとドラムの音がない状態だ。 1 小節 1 ~ 3 拍、 A コンデミフレーズ。4 拍から 2 小節 2 拍まで Dブルースヘキサトニック+ 2 。 2 小節 3 ~ 4 拍は A ハーモニックマイナーパーフェクト 5 th ビロー。または 1 小節 4 拍から 2 小節 4 拍までAハーモニックマイナーパーフェクト 5 thビロー。この場合、 2 小節 2 拍表の G# 音はパッシングトーンであり、 1 段目全体を A7 と想定している。
2 段目。 1 ~ 2 小節は、 Aハーモニックマイナーパーフェクト 5th ビロー。 3 小節 1 ~ 3 拍は、 Dエオリアンの断片。 4 拍はAbコンデミ。 4 小節の Ab7(b9)のフレーズが 3 小節目の 4 拍目にずれ込んできている。フレーズのエクスパンド(伸長)である。4 小節 3 ~ 4 拍も同じく次の小節のGm7 のフレーズが前にずれこんでいる。
3 段目 1 小節、 1 ~ 2 拍はGm7 のコードトーン。 2 小節はC コンデミでフレージング。 3 小節 1 拍のC# , E 音、 2 拍表のG 音は、コンデミ。 1 小節前の C コンデミのフレーズが、後ろにずれこんでいる。(フレーズの伸長)。ディレイドリゾルブしている。 2 拍裏の F 音から 4 拍 Bb 音までFイオニアンスケールの断片。 4 小節1 拍と 2 拍の A 音はコードであるE7 においてはアボイドであるが、 Dmブルースと考えるとOKである。 3 ~ 4 拍はA ハーモニックマイナーパーフェクト 5 th ビロー。
4 段目 1 小節、D エオリアンの断片であるが、 1 ~ 3 拍表はどう見てもD マイナーペンタのフレーズである。 Dマイナーペンタ+2 のヘキサトニックと見た方が良い。 2 小節、コードは Gm7。基本的に無音であるが直前のD 音が頭の中に残っていてこの2 小節全体を支配している。 3 小節、コードはBb7。G マイナーブルースヘキサトニックでフレージング。 4 小節、コードはA7。最初の 3 音、C ,A, F 音は、F トライアド。これは Dマイナーペンタに内在するトライアドである。 2 拍裏の C# 音から 4 拍までは、 Aコンデミでフレージング。
5 段目、 1 小節。 Dマイナーペンタ+2 のヘキサトニックでフレージング。 3 拍の表から Dマイナートライアド。 2 小節は Gリディアン7th でフレージング。 3 小節コードは Bb7 で、スケールはGマイナーペンタ+ 2 のヘキサトニック。4 拍目のC# 音は次の 4 小節のA7(b9) のコードトーンが前にずれこんでいる(エクスパンド)。 4 小節は無音であるが、直前の C# 音が空間を支配している。
1 段目、1 小節から 3 小節 2 拍まで Dマイナーペンタ+ 2 のヘキサトニック。 1 小節 4 拍の G, A音と次の A 音で一つのモチーフを作っていて、それを展開している。 3 小節 3 拍裏から 4 小節 2 拍まで Abコンデミ。 4 小節 3 ~ 4 拍は、 Abミクソリディアンでフレージング。
2 段目、 1 小節。ここは Gマイナーペンタ。 2 小節、コードは C7 で スケールは C コンデミ。 3 小節 1 ~ 2 拍は、 F ディミニッシュ。トニックディミニッシュになっている。 3 ~ 4 拍はコードトーン(F = F6)。
1 ~ 2 拍の F ディミニッシュ(トニックディミニッシュ)は、 E コンデミと同じスケール音を持っており、 E コンデミを E7 (b9) と考えるとこの 3 小節目は、 E7(b9)-F と想定してフレージングしていると言える。 E7(b9)-F と半音上行(逆進行)しているが、 E7 (b9) - Am7 (= FM7 , 9 ) の進行と同じと考えることもでき、この場合ドミナントモーションが成立する。E7 = Bb7 (トライトーンが同じ)なので、トニックである F から見ると E7(b9) はサブドミナントとなる。名前のとおりサブドミナントは、ドミナントのサブであり、少し弱いがドミナント効果があるということだ。しかし、 E7(b9) -F の進行をドミナントモーションと呼ぶのは少しはばかるので、サブドミナントモーションと呼ぶことにしよう。トニックデミニッシュとは、半音下の音を ROOT とする 7 th (b9) コードのことである。
2 段目 3 小節 3 ~4 拍の 3 音はモチーフになっている。 4 小節はそのモチーフを展開している。4 小節 1 ~ 2 拍は 3 小節 3 ~ 4 拍のモチーフを半音下へ平行移動している。スケール的には E ミクソリディアン。または、 E リディアン 7 th 。4 小節 3 ~ 4 拍は、 A7 のトライトーンであるG, Db 音でのモチーフ展開。
3 段目 1 小節。 Dハーモニックマイナーでフレージング。2 小節、コードは Gm7 であるが 1 ~ 3 拍表まで Aマイナーペンタ。3 拍裏からの3 音は、 3 小節頭の Db 音に向かうクロマチックアプローチノート。 3 小節、コードはBb7 であるがスケールは、 Aコンデミ。 3 小節 Bb7 4 小節A7(b9) を, A7(b9) 一発と考えてフレージングしている。ただし、4 小節は全休符。
4 段目。 1 小節 1 拍裏から 2 小節2 拍まで Dマイナーペンタ+ 2 。 2 小節 1 ~4 拍まで、 Aハーモニックマイナーパーフェクト 5 th ビロー。 2 小節のコードは Bb7 - A7 であるが、A7 一発でフレージングしている。 3 小節 1 ~ 2 拍は、 Dm7 のコードトーン。 3 ~ 4 拍はDコンデミ。 4 小節 1 ~2 拍は FM7 のコード分散。 3 ~ 4 拍は次の小節の Ab音に向かうクロマチックアプローチノート。4 小節 3 ~ 4 拍の最初の 3 音 B, A, Bb 音はディレイドリゾルブ。
(2)につづく