パット・メセニーのアドリブフレーズの一部 をアナライズする。(スマホの方は譜面をタッチ、PCの方は譜面をクリックでクリアに拡大できます)
「ALL THE THINGS YOU ARE」は、CD ” クエスチョン&アンサー” の 7 曲目にある。
この曲のアドリブフレーズの一部を抜粋して、アドリブにおける フレージング アイディア を探ることにする。
1段目。1 小節、コードはDbm7。 3 ~ 4 拍は E トライアド。 2 小節、コードは Cm7。1 ~2 拍は、1 小節のトライアドを半音下げた Eb トライアド。4 拍表 B音から 3 小節 4 拍表の G音までクロマチッックライン。 4 拍裏の Fb 音は、B ディミニッシュスケールのスケール音。
2 段目。1 小節、コードは Bbm7 。1 拍の Gb, Eb 音は次のF 音に向かうディレイドリゾルブのアプローチ音。もう一つの解釈は、1 ~2 拍の Gb, Eb, F 音を Fコンデミのスケール音とする。Bbm7 を F7-Bbm7 に置き換える考え方だ。2 拍裏のG 音から 4 拍表の G 音までは、 Bb ドリアンのスケール音。最後の Gb 音はパッシングトーン。また、この 4 拍表の G 音から 2 小節 3 拍表のDb 音までクロマチックライン。 2 小節、コードは Eb7 。 3~4 拍は Ebミクソリディアンのスケール音。 3 小節、コードは Ab 。1 拍の 4 分、 F フラット音はアボイドノート。強拍で音価も長い。そして、ここからは何通りもの解釈が出来る。(2 段目と 3 段目は繋がっている)一つ目。 3小節 1 拍の Fb 音は、アボイドとして、2 拍は Ab のコードトーン。3 ~4 拍は、B7 のコード分散。そして、次のコード(3 段目1 小節)のC7 に半音上行のドミナントモーション。これは、C7 = Em7 (b5) と考え、 B7 から Em7(b5) へドミナントモーションと考える。二つ目。2 段目3 小節は、 Cb を除いて Eb コンデミのスケール音でフレージングされている。Cb は、ブルーノートだ。Ebコンデミでアドリブしているので、ここのコード、Ab をEb7 と想定していることになる。2 小節目のEb7 が、後ろにずれこんで、Ab が無くなった状態である。そして、次のC7(3 段目 1小節)のフレーズはAbミクソリディアンとも言える。 C7 = Ab7 と考えている。マルチトニックである。三つ目。 2 段目3 小節のフレーズを C コンデミと考える。これはマルチトニックで、Ab = C 。このC を、トニックセブンのC7 (ブルース) とする。 C7 とすれば、この3 小節目は Cコンデミでアドリブできる。そして、次の C7 にも繋がる。
3 段目。 1 小節、コードは C7。ここのスケールは Ab ミクソリディアン(Ab7), C フィリジアン(Cm7), または、C アルタード(C7) で最後の F 音は意識してアボイドしたという 3 通りの解釈が出来る。 2 小節、コードは Fm7。1 ~2 拍の音型を半音上げたのが、 3 ~ 4拍の音型になっている。コンスタントファンクションである。 3 ~4 拍の音型は、 F エオリアンのスケール音で出来ている。 3小節、コードは Bbm7 。1 拍表のAb 音から 3 拍表の Ab 音まで、クロマチックライン。 3 ~ 4 拍は、 Bb ドリアンのスケール音でフレージングしている。
4 段目。1 小節、コードは Eb7 。1 拍表 Gb音から 3 拍表 D音まで、 D コンデミでフレージングしている。 Eb7 = D7 - Eb7 と想定している。 Eb7 を Gm7(b5) と考えD7 からドミナントモーションしている。 3 拍裏の Bb 音から 4 拍裏の Ab 音まで、 Eb ミクソリディアンのスケール音で出来ている。2 小節、コードは Ab。1 拍は Ab イオニアンのスケール音。 2 拍の Db 音はアボイド。音価も長い。 3 ~ 4 拍は Ab = C (マルチトニック) と考え C のコードトーン。 3 小節、コードは Db 。 E 音を除いて、他は D リディアンのスケール音。 E 音はクロマチックアプローチ音。
5 段目。 1 小節、コードは G7 。F# 音を除いて、他は G コンデミのスケール音。2 小節、コードは C 。1 拍表の G 音から 3 拍表の E 音まで半音で繋がっている。 2 拍の 4 分の F 音は、例によってアボイド。音価も長い。 3 拍の E , G 音はコードトーン。3 小節、ここもコードは C 。 3 ~ 4 拍はすべて C イオニアンのスケール音。
6 段目。1 小節、コードは Ab 。3 拍裏の Ab 音から 2 小節最初の C 音まで、 D コンデミでフレージング。ここのコードは Ab であるが、次の 2 小節目のコード D7 が 1 拍半前にずれこんでいる。 2 小節、コードは D7 。1 拍表の C 音から 4 拍表の D 音まで、 D ドリアン。 1 ~2 拍は C トライアドになっている。 7th コードをドリアンでフレージングすることはよくある。ブルースである。 4 拍裏の Db 音はクロマチックアプローチ音。調性記号が b 3 個になっているが、ミスではない。 3 小節、コードは G。1 拍の C, A 音は、次の B 音に向かうディレイドリゾルブのアプローチ音。 2 拍の B , E 音は、 G イオニアンのスケール音。 3 拍の Eb 音から次の 4 小節 2 拍裏の Eb 音まで、Ab ミクソリディアンスケール。この部分は、 Ab7 を想定してアドリブしている。 4 小節もコードは G 。 3 ~ 4 拍は G イオニアンのスケール音。 3 ~ 4 小節を、 G = G - Ab7 - G と考えている。クロマチックアプローチのバリエーションとも言えるし、ドミナントアプローチとも言えるし、リハモニゼーションとも言える。
b
c