ジョー・サンプル マイナーブルースヘキサトニック + 2

RAINBOW SEEKER 」 における ジョー・サンプル のアドリブ右手フレーズの一部をアナライズする。(スマホの方は譜面をタッチ、PCの方は譜面をクリックでクリアに拡大できます)

RAINBOW SEEKER 」は、CD  ” RAINBOW SEEKER ” の 1 曲目にある 。

この曲のアドリブフレーズの一部を抜粋して、アドリブにおける フレージング アイディア を探ることにする。

 

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 16 分音符はわずかにハネている。

1 段目 1 小節。 F, D 音は、 Eb音に向かって ディレイドリゾルブ。この 1 小節最初の F 音から、 2 小節(コードは Cm7)最後の D 音まで、 Cマイナーブルースヘキサトニック + 2  ( C ,  D ,  Eb , F , F# , G , Bb の 7 音スケール。 +2  とは 、ルートから全音上の音を加えるという意味)で、フレージングされている。このスケールは、 Cマイナーのブルーススケールと同じである。そして 3 小節は、 Cマイナーペンタのみでフレージングされている。

 2 段目 1 小節。コードは AbM7 , Gm7 。 1 拍は、 Cマイナーペンタ。 3 ~ 4 拍は、G フィリジアンスケール(C エオリアンスケール)。  2 小節、コードは Fm7 。ここは、 C マイナーブルースヘキサトニック + 2 でフレージング。 2 拍頭の A 音は、パッシングトーン。ブルースで弾いている。

 3 段目 1 小節。コードは Gm7。ここは、 Cマイナーペンタ + 2 のヘキサトニック(C , D , Eb , F , G , Bb  の 6 音スケール)でフレージング。 Gm7 から見ると G マイナーペンタ + b6    ヘキサトニックとなる。  2 小節、コードは Fm7 。ここは、 F マイナーペンタ +2    ヘキサトニック でフレージング。トーナリティである Cマイナーから見ると、 Cマイナーペンタ + b6    ヘキサトニックとなる。

 4  段目 1 小節。コードは、 EbM7 、 Am7 / D  。  1 ~ 2 拍は、 C マイナーペンタ  + 2    ヘキサトニック。 3  ~ 4 拍。最初の E 音から G# 音まで半音階。 4 拍 二つ目の A 音から 2 小節全部、 D トライアド + 4   のアルペジオになっている。

 5 段目 。1 小節は 1 6 分 A 音 1 個のみ。 2 小節コードは、 Am7 / G ,    Gm7 。 1 ~ 2 拍。ここは複数の見方があるが、 Aマイナーペンタ + b2    ヘキサトニックとする。 F 音は、 E 音に向かうグリスノート。 3 拍は、 Bb トライアド。 4 拍は、 Gm7  のコード分散。 2 拍の Bb 音から 4 拍最後までを、 Gm7  のコード分散とする見方もある。なぜ 3 拍目を Bb トライアドにしたかというと・・・。ジョー・サンプルは、コードが頻繁に動くときには、マイナーコードの場合短 3 度上のメジャートライアド、メジャーコードの場合長 3 度上のマイナートライアドを散りばめることが多いからだ。 2 小節、コードは Cm7 。ここは Cマイナーペンタ + 2   ヘキサトニックでフレージング。 1 拍目に Cm7 の短 3 度上の Eb トライアドが見られる。

6 段目 1小節。コードは Am7 / G  ,  Gm7 。1 拍は Am7 のコード分散。 2 ~ 4 拍まで、 C マイナーブルースヘキサトニック + 2  のブルーススケールでフレージング。 2 拍の E , D 音は、次の Eb 音へディレイドリゾルブ。 3 拍の F , F# .  G 音が一括りと考えると、次からの Bb,  D ,  F 音の Bb トライアドは、コードである Gm7 の短 3 度上のメジャートライアドである。 2 小節、コードは Cm7。 1 ~ 3 拍まで、 Cマイナーブルースヘキサトニック + 2 でフレージング。 4 拍は半音階。

何の仕掛けもない、シンプルなペンタトニック、ヘキサトニック、半音階、コード分散によるフレーズである。コンデミ 、アルタードさえほとんど無い。しかし、このようなシンプルなフレーズをジョー・サンプルのように美しく弾くのは、なかなか難しいことだ。シンプルなフレーズを美しく弾けなければ、ハンコックやチックのような複雑なフレーズは当然美しく弾くことは出来ない。そればかりか、シンプルなフレーズでしか表現出来ない美しさもあるのだ。

複雑でメカニックで速弾きのフレーズが、シンプルなフレーズよりも音楽的に質が上という訳ではない。どんな音楽でも、音楽の本質はフレーズではなく、その音から何かが来るかどうかである。ジョー・サンプルの音に乗っているのは、チャーリー・パーカーや、リー・リトナー、マッコイ・タイナー、ミシェル・ペトルチェアーニと同じものである。ジョー・サンプルの音はペトルチェアーニほどではないが、結構深く乗っている。近年のチック・コリアは、音数も少なくなり、個々の音の美しさがより深くなって、別人のようである。ハンコックは、相変わらずかなり薄い。

 

 

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