キース・ジャレット

 Stella By Starlight 」 における キース・ジャレット の アドリブフレーズの一部をアナライズする。(スマホの方は譜面をタッチ、PCの方は譜面をクリックでクリアに拡大できます)

Stella By Starlight 」は、CD  ” Standards Live ” の 1  曲目にある 。

この曲のアドリブフレーズの一部を抜粋して、アドリブにおける フレージング アイディア を探ることにする。

 

 CA3F0077

 

1 段目 1 小節。コードは Gm7 ・ C7 。1 ~ 2 拍は G エオリアン。 3 ~ 4 拍。 3 拍表拍の F# 音はクロマチックアプローチノート。 3 拍裏から 4 拍裏まで、 C ミクソリディアン。または、 3 ~ 4 拍  C コンデミ。または、 3 ~ 4 拍 C リディアン7th。この C7 は次のコード Am7(b5) へ ドミナントモーションすると考える。 Am7(b5) = F7 である。2 小節、コードは Am7(b5)。 1 拍表の B 音は、C 音に向かうグリスノート。または、 1 拍表の B 音から 2 拍表の F 音まで、A ロクリアン#2 。 3 拍裏の Eb 音と 4 拍表の C# 音は、次の D 音に向かうディレイドリゾルブ。3 小節、コードは、D7。1 拍表の G# 音は、 D アルタードのスケール音。  1 拍裏の A 音と次の C 音は、 Bb 音に向かうディレイドリゾルブ。2 拍裏の Bb 音、 3 拍の F#  ・ Eb 音は、D アルタードのスケール音。 4 拍の D 音は、コード D7 のコード音。または、 D コンデミのスケール音。 4 小節、 1 拍の D 音は、 G7 のコード音。または、 3 小節はすべて D ハーモニックマイナーパーフェクト 5th ビロー。この場合、最初の G# 音はアプローチノート。

2 段目。 1 小節、 コードは Em7(b5) ・ A7。 1 小節はすべて A ハーモニックマイナーパーフェクト 5 th ビロー。ここは、 Em7(b5) ・ A7  を、 A7 一発で考えている。2 小節、コードは Dm7。1 拍裏の C# ・ E 音は次の D 音に向かうディレイドリゾルブ。 2 ~ 4 拍は Dm7 のアルペジオ。3 小節、コードは Bbm7 のはずだが、実ははっきりしない。この 2 段目 3 小節は、アドリブ 1 コーラス の 12 小節目である。ピアノの左手は、 2 拍裏に 8 分音符で、下から G ・ Bb ・ Db 音が鳴っている。ベースは、 1 拍表に 8 分休符、 1 拍裏が 8 分音符で G 音。 2 ~ 4 拍が 4 分音符で B ・ Bb ・ Eb 音となっている。ピアノの左手もベースラインも素直に考えれば、ここのコードは Eb7 である。ここを Eb7 とすると、右手のアドリブラインは、すべて Eb リディアン7th  となる。 3 拍表の A 音は、ナチュラルである。ここのコードを Bbm7 と考えた場合、 3 拍表の A 音はアボイドであるが、キースはこれを無視している。アボイドの無視はコードの無視に繋がり、コードの無視はモードに繋がる。 Bbm7 か、 Eb7 か、はっきりしないのだが、なぜ Bbm7 と表記したのかというと、オープニングテーマの 12 小節は Bbm7 になっているからだ。オープニングテーマの 12 小節、ピアノの左手は、 1 拍裏から 4 拍まで、下から  Ab ・ Db 音が鳴っている。これはコードで考えると、 Eb7 は有り得ない(モーダルに考えれば有り得るが)。Bbm7 となる。ベースラインは 1 ~  2 拍が、付点 4 分の B 音と 8 分の B 音、 3 ~ 4 拍が、付点 4 分の Bb 音と 8 分の Bb 音になっている。 2 拍裏の 8 分音符の B 音は、 3 拍 Bb 音の半音上なので問題なし。1 拍頭の付点 4 分の B 音は、2 つの見方がある。1 つ目は、 B7   - Bbm7    のコード進行を想定したとする見方。 2 つ目は、root  の半音上の音をあえて強拍で弾いたとする見方である。これはあまり一般的ではないが、 7th コードにおいて、root の半音上の音を強拍で弾くという例が稀にある。コントラバスとエレベでは実音が 1 オクターブ違うののでエレベは不可である。かなり低音でなければいけない。実際 root の半音上を弾いてもそんなに違和感はない。普通は 7th コードであるが ピーコックはマイナーコードでもやりかねない(キースのこのピアノトリオではマイナーコードが 7th コードになったりする)。ただし、この root の半音上は、コーラスの 12 小節目に集中している。ベースの半音のラインに限らず、キースの左手のラインもコードより優先されている。これはコードの無視であり、アボイドノートの無視と同様モードの考え方に繋がる。それではエンディングテーマの 12 小節目はどうなっているのだろうか。ピアノの左手。1 拍は 4 分音符で下から A ・ Db ・ F 音。 2 拍裏、 8 分音符で下から Ab ・ Db ・ F 。 4 拍表拍 8 分音符で下から G ・ Bb ・ Db ・ F    となっている。ベースラインは 1 ~ 2 拍、付点 4 分の Bb 音と 8 分の Ab 音となっている。 3 ~  4 拍は 4 分の Eb 音と 8 分の E ・F 音になっている。最後の F 音は次のコード F の前置音である。これから考えると 1 ~ 2 拍は普通は Bb m7。 3 ~ 4 拍は Eb7 となる。これはオープニングテーマの 1 2小節目とエンディングテーマの12 小節目のコードが違っているということである。13 小節目もオープニングテーマでは A7   - Dm7   でエンディングテーマでは F6 - Dディミニッシュとなっていてオープニングテーマとエンディングテーマのコードが一致していない。ちなみにアドリブ 1 コーラスの 1 3 小節目は F6  - D7  になっている。これらのコードの違いもコードの軽視であり、モードに繋がる。エンディングテーマの 13 小節目は、コードが Bbm7  - Eb7  であるが、ピアノの左手の一番下のラインが、 A ・ Ab ・G 音となっていて、コードよりも半音のラインを優先している。最初の A音はアボイドである。キースは 4 度のハーモニーは嫌いらしく、 3 度のハーモニーを多様しているのでチック・コリアやマッコイ・タイナーのようなモードジャズには聞こえないがこれがキースのモーダルなスタンダードである。スタンダードではあるがコーダルな考えの中にモード的な考えを織り混ぜていると言える。

3 段目、 1 小節、コードは Cm7 。 2 ~ 4 拍は C ドリアン。 3 拍 2 個目の B 音は、半音アプローチノート。 4 拍の Bb ・ G#  音は、次の A 音に向かうディレイドリゾルブ。 2 小節、コードは F7 。 1 拍最初の A 音から 2 拍最初の Eb 音まで、 F コンデミまたは F アルタード。 1 拍最後の E 音は、半音アプローチ音。 2 拍 Eb 音から 3 拍最後の Eb 音まで、F ミクソリディアン。

 4 段目、 1 小節、コードは A7。 3 ~ 4 拍、スケールは A アルタード。 3 拍最後の G# 音は半音アプローチノート。 4 拍は、 A +   のコード分散。 2 小節、コードは Dm7 (b5)。スケールは、 Dロクリアン。1 拍の 4 音は、 2 拍頭の F 音に向かう ダブルクロマチックのディレイドリゾルブ。 3 拍の Eb ・C ・C# 音は、次の D 音に向かうディレイドリゾルブ。 4 拍は、 3 拍の音型を短 3 度下に平行移動したコンスタントファンクション。 4 拍最後の D 音は、コードの root 音。 3 小節、コードは G7 。 1 ~ 2 拍は、G コンデミ。 1 拍のGb 音・ 2 拍の Eb 音は、アプローチノート。 3 ~ 4 拍は、 G ハーモニックマイナーパーフェクト5th ビロー。3 拍の Gb 音は、グリスノート。

5 段目、 1 小節、コードは Em7(b5)。 1 ~ 4 拍、すべて E ロクリアン#2  。または、A コンデミ。左手のボイシングは、 1 ・ 2  小節共に Em7(b5) となっている。この 1 小節目、キースがどう考えた(感じた)のかは、わからないが、ここは、 1 ~ 2 拍をEm7(b5), 3 ~ 4 拍を A7 と考えたとしておこう。すると、スケールは、 1 ~ 2 拍は、 E ロクリアン#2  。3 ~ 4 拍は、A コンデミとなる。2 小節、コードは A7 。左手のボイシングは、Em7(b5) のまま。右手のフレーズ、1 ~ 2 拍は D トライアド。 3 ~ 4 拍は、G ハーモニックマイナーパーフェクト 5th ビローに見える。 D7 -G7   を想定しているように見えるのだ。もしそうだとすれば、 1 ~ 2 小節を、 Em7(b5) -A7  -D7 - G7      と、コード進行を創作して、次の Cm7   に繋いでいる。

6 段目、1 小節。コードは  Em7(b5) - A7。1 ~ 2 拍は、E ロクリアン。 1 拍 2 個目の Eb 音は、半音アプローチノート。 3 ~ 4 拍は A コンデミ。 4 拍 2 個目の Ab 音は半音アプローチノート。 2 小節、コードは Dm 。 1~ 4 拍、スケールは D フィリジアン。 3 拍 2 個目の G# 音、 4 拍 3 個目の Gb 音は、半音アプローチノート。 1 拍最後のD 音から 2 拍最後の C 音まで、 Dm7 のアルペジオ。 6 段目 1 小節のベースラインは、 A 音 8 分、E 音 8 分、E 音 4 分、C# 音 4 分、 A 音 4 分。2 小節は、 Bb 音 4 分、B 音 4 分、 C 音 4 分、 C# 音 4 分。そして、左手のハーモニーは一切弾いていない。ベースラインでみると、この 6 段目 1 小節は、 A のコード分散になっていて、ゲーリー・ピーコックは   A7   を想定している。この 6 段目 1 小節のコードを A7 と考えて 1 ~ 2 拍のフレーズを眺めてみると、 A コンデミとみれないこともない。1 拍 1 個目の D 音と 4 個目の D 音は アプローチノートとみる。2 小節のベースラインはコード無視のクロマチックラインである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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