マッコイ・タイナー、ペンタトニック、ペンタトニック (2)

 マッコイ・タイナーの右手アドリブフレーズの一部 をアナライズする。(スマホの方は譜面をタッチ、PCの方は譜面をクリックでクリアに拡大できます)

The Greeting」は、CD   “THE GREETING ” の 5 曲目にある。マッコイ・タイナーのオリジナル曲となっている。

この曲のアドリブフレーズの一部を抜粋して、アドリブにおけるフレージングアイディアを探ることとする。

ペンタトニックの表記については、ペンタトニックを、基本的に「 4 音コード + 1 」と考え表記する。トライアドの場合、「トライアド+ 2 」となる。 C メジャーペンタトニックは、 C 6 (2) ペンタ,  Cマイナーペンタトニックは、 Cm7 (4) ペンタ と表記する。
 

CA3F0031

 

18.     1  小節 1 拍目は、A トライアド。 2 拍裏は、F#m トライアド。4 拍目E, F# は、 B ミクソリディアンのスケール音だが、直前の F#m にこの音が加わり、E は、F#m の 7th , F# は、F#m の Root に聞こえる。さらに、ここには書かれていないが、左手の B 音を考えると、ここのハーモニーは、F#m7 / B になる。2 小節 3 ~4 拍は、B トライアド。または、 2 小節 3 拍から 4 小節最後まで B7(2) ペンタ。 1 小節から 4 小節全部が B ミクソリディアンスケールでフレージングされている。スケールアウトはない。ここに書かれていないが、左手は、 2 度と 3 度でボイシングされている。

19.    1 ~ 2 小節は、D7(2)ペンタ。3 小節 1 拍裏から 4 小節全部が、D7(2) ペンタ。3 小節 1 拍表のG 音は、D ミクソリディアンスケールの音であるが、機能和声であれば、D7 において、表拍の G 音は、アボイドノートである。しかし、この譜面には書かれていないがこの時の左手はたまたま、下から、E , A , D の 4 度重ねのハーモニーで機能和声になっていない。機能和声におけるアボイドノートとは、コードトーンの半音上の音である。(この場合の例外が2つあり、一つは、 7th コードにおける Root と b9  、もう一つはマイナー7th(b5)における b5 と 4 である。)アボイドノートとなるもう一つの条件は、その音の使用において、コードの機能が変化してしまう場合の、その音である。しかし、モードは機能和声ではないし、ハーモニーはコードでなくてもよいのである。この G 音の時の左手のボイシングは 4 度重ねで、 G 音は、E ,A ,D のどの音とも半音でぶつからない。一般的にはこう考える。しかし、モードにおいてのハーモニーは、3 度もOKで、実際にコードと同じ形のものも多い。この強拍である表拍の G 音で、左手が、 D7 のコードボイシングだったらどうなるのか? G 音は、 D7 の 3 度の F# 音の半音上なので、当然ぶつかって濁る。しかしモードはこの濁りも含めてモードなのである。モードにアボイドノートはない。モードは機能和声のルールを考えなくてもよいのだ。なぜなら、機能和声が生まれる前からのシステムである。

ここは全部、Dミクソリディアンスケールでフレージングされている。スケールアウトはない。左手は譜面にないが、5 度と 4 度でボイシングされている。

 

20,     1 小節から 2 小節 2 拍まで、E6(2) ペンタ。2 小節3 拍~ 3 小節裏の G# まで B7(6) ペンタ。 2 小節 4 拍から 3 小節 2 拍まで、F#6(2) ペンタとも言える。3 小節2 拍裏 Bb から 4 拍表 Bb まで、 Bb トライアド。 4 拍裏 D# から 4 小節最後の D# まで、B7(2) ペンタ。

全体として、 Bb トライアド以外は、 B ミクソリディアンスケールで出来ている。Bb トライアドは、半音ずらしのスケールアウト。それは、 B7(2) ペンタに繋がって、終止感を得ている。左手は、ここでは 4 度、3 度、半々位である。Bb トライアドの時の左手はここには書いていないが、下から、Ab , C , D , G でコードジャズの Bb7 と同じだ。 Bb ミクソリディアンで右手も左手も考えている。

21.     1 小節は G と E 。D ミクソリディアンのスケール音だ。 2 ~ 4 小節は、 D7(2) ペンタ。

全部が D ミクソリディアンスケールである。スケールアウトはない。左手は、譜面にはないが、 4 度でボイシングされている。 

22.    1 ~ 2 小節 2拍裏の D まで C6(2) ペンタ。その D から 3 小節 2 拍まで E7(2) ペンタ。 3 小節 3 拍裏から 4 拍表は、 C6(2) ペンタ。 3 小節 4 拍裏から  4 小節最後まで G6(2) ペンタ。左手はほとんど 4 度だ。E7(2) ペンタ以外は、D ミクソリディアンスケールとみることができる。譜面に書いていないが、左手の D , A が、 1 小節と 3 小節の頭に入っているのと、右手 2 小節 3 拍に F# 音があるからである。E7(2) ペンタは、 E ミクソリディアンから派生したもので、D ミクソリディアンに対して全音上にずらしたスケールアウトになっている。右手が E7(2) ペンタの時の左手は、下から 4 度重ねで E , A , D で E ミクソリディアンのスケール音となっている。

23.    1 小節~2 小節2 拍表は、 F#m7(4) ペンタ。 2 小節 2 拍裏のF から 4 拍まで Fm7(4)ペンタ。3 小節は F#m7(4) ペンタ。 4 小節は Fm7(4)ペンタ。左手は書かれていないが全部 4 度のボイシングである。右手が F#m7(4) ペンタの時は、左手は B のミクソリディアン。 Fm7(4) ペンタの時は、左手は Bb ミクソリディアンスケールの音でボイシングしている。 4 度重ねだ。この 23 の譜面は 24 に繋がっているが、この 23 の 4 小節目は、ベースのモードである B ミクソリディアンに対して半音下にずらしたスケールアウトになっている状態のままである。このスケールアウトの状態のまま次の D ミクソリディアンに繋いでいる。

24.    1 小節は、 CM7(2) ペンタ。 2 小節は、D7 アルペジオ。書かれていないが左手の D , A が 1 小節1 拍目の裏と 2 小節 4 拍目の裏になっている。全体のモードは D ミクソリディアンスケールである。左手は、 5  度と 4 度のハーモニーになっている。スケールアウトはない。