オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイビスにおけるアフリカ回帰性・・・(3)

マイルス・デイビス 「THE MAN WITH THE HORN」 の 3 曲目 「SHOUT」の主にトランペット アドリブ パートのフレーズアナライズをする。テンポは、122 である。トランペットの音は、実音(Cメロ)で表記する。この曲はトーナルセンターシステムのバリエーションの一つと考えられる。

イントロ 1~2 小節  1 小節 4 分音符が 4 つと 2 小節の頭までキメになっている。1 小節 1 拍目、トップノートが F で DbM7 / Bb。2 拍目、トップが G で EbM7 / Ab。3 拍目、トップが Abで EM7 / F#。 4 拍目、トップが Bb で  GbM7 /  E。 2小節頭、トップが Bb で EbM7 / F 。センター F で考えると、このキメのトップノートのラインは、F ドリアン、又は、 Fエオリアンのどちらかだ。ハーモニー的に見ると、1 小節 1 拍目と 4 拍目がDb を持っている。 2 拍目が Dナチュラルを持っている。コンスタント ファンクション(平行移動)になっており、スケール以外の音がハーモニーに使用されているため、断定はできないが、エオリアン スケールとするのが妥当である。マイルスは、自分のアドリブパートの 40 小節目で、この部分を半音階の混ざった  F エオリアンb5 スケールで吹いている。ベースラインは、 1 小節目、 4 分音符で、 Bb, Ab, F#, E, そして 2 小節頭に F となっている。どうしてこのラインになったのだろうか?まず、トップの音の上向ラインに対して、反行の下降ラインにする。バランス上こうなる。そして上声の 4 声以外の音(ノンコードトーン)にする。これはキメに必要な緊張感が高まる。この 2 つ条件で、ベースラインを考えると、1 小節 1 拍目は、トップが F で Db M7。トップノートのライン( F エオリアン)から見ると DbM7 のスケールは、Db リディアン スケール。ここで、 DbM7 のコードトーン以外のスケール音は、 Bb,  Eb,  G, となる。ここは基本的にどれを選んでも良いのだが、 Eb ,  G  は、トップの F に距離的に近すぎるということで、 Bb となる。 2 拍目。トップは G で、 Eb M7。この EbM7のスケールは、 Eb イオニアン スケール。このスケールでコードトーン以外の音は、 C , F , Ab 。下降のラインであり、 Bb からあまり跳躍しない音は、 Ab となる。 3 拍目。トップが Ab で EM7 。このスケールは、E リディアン スケール。このスケールで、 EM7 のコードドーン以外の音は、Bb , Db , F# となる。下降のラインで、あまり跳躍しない音は、F# となる。4 拍目。トップが Bb で GbM7 。 このスケールは、Gb リディアン スケールとなる。このスケールで、 GbM7  のノンコードトーンは、 Ab , C , Eb  となる。下降のラインで、あまり跳躍しない音は、Eb となるのが普通だが、ここでは Eナチュラル となっている。なぜ E になったのか?この音は、スケールにない音である。これは、ベースの音を、 E 音にすることにより、トップの Bb との間にトライトーンが生じ、次の 2 小節頭の EbM7 / F  に対して、ドミナントモーションとなるからである。 1  小節の 4 拍目にドミナント的な効果が欲しかったからである。GbM7  と Gb7  が共存するサウンドになるが、スケールは Gb リディアン # 6  となる。

2 ~ 9 小節   2 ~ 3  小節は、EbM7 / F 。 4 ~ 5 小節は、DbM7 / F 。6 ~7 小節は、 EbM7 / F 。8 ~ 9 小節は、DbM7 / F 。実際には、サウンド全体を支える土台としての低音という意味でのベースの音は、 2 小節の 1 拍目に F の 4 分音符。 9 小節目の 3 拍目に F の 2 分音符グリッサンドのみである。高音のパーカッシブなグリッサンドが、小さく 2 箇所鳴っているが、土台としての低音としては聞こえない。ということは、 3 ~ 8 小節は、低音としてのベースは、無音である。ベースラインが途切れて、無音になった場合、その無音の空間を支配するのは、無音の直前の音である。この理由で、ベースは鳴っていないが、 4 ~ 8 小節は、分数表記になっている。

全部で 9 小節のイントロが終わると、テーマが始まる。テーマの Aメロのハーモニーは、EbM7 / F   2  小節、 DbM7 / F  2  小節の 合わせて 4 小節パターンを 基本的に 32 小節まで繰り返すが、 32 小節目は例外で、イントロの 1 小節目と同じキメになっている。 B メロのハーモニーは、Fm7 が 7 小節。 8 小節目は、イントロの 1 小節目のキメ。この合わせて 8 小節を 2 回繰り返している。テーマ全体は、 A メロ、 B メロ、合わせて 48 小節で 1 コーラスとなる。アドリブソロは、 EbM7 / F    DbM7 / F   の 2 コードの繰り返しをバックに行っている。 テーマのメロは、 F エオリアンの Db を除いた音で構成しており、トランペットとソプラノサックスのユニゾンで演奏されている。 A メロの特徴としては、 2  度の音程でほとんどが作られている。 A メロ 32 小節の中で、 3 度以上の音程は、 4 箇所のみである。それに対して B メロは、 16 小節の中で 3 度音程が、 10 箇所となっている。これは、 A メロに対し B メロの方が、ドミナント度が強いということになる。

フレーズの切り貼りはありえるが、ピッチ補正やタイミングの補正はしていない演奏である。録音にあたってクリックは使用していないようだ。テンポ 121 ~ 123 の間で揺れている。ギターの 2 ノートカッティングは、ファンクらしいタメが少しあり素晴らしいものだ。ベースもファンクなのでタメて弾いている。 2 小節のパターンで、最初に F を強調した F エオリアンでのパターンである。ギターのコードが変わっても、ベースのパーターンは基本的に変わらない。 F のセンターである。しかし、かなり雑なベースだ。テーマがはじまってからの 2 小節目、最初の 16 分休符は、長すぎ。その為、その後の 7 つの音が全部遅れている。特に 2 拍目の F , C の遅れが目に余る。 16 分音符の長さにバラつきがあり、不安定に聞こえる。裏の無いフレーズになっている。その後も、 1 小節置きに同じフレーズが出てくるが、どれも違った崩れ方をしている。聞いていてマズイ感じがする。テーマの 4 小節目は、 1 拍目の裏が遅れすぎている。ドラムもデイヴ・ウエッケルなどと比べると、端正とは言えない。それでもテンポのキープ力はさすがである。

マイルスのアドリブソロが始まる。フレーズアナライズをする。

 1 ~ 2 小節  1 小節 3 拍目、 C 音から半音階で Eb に駆け上がり、その音を伸ばしている。

 3 ~ 6 小節  3 小節( 4 分休符、 8 分休符、 8 分 Bb の連続 4 つ、 8 分 C )。 4 小節( 8 分 Db , 8 分 C ,  4 分休符、 2 分休符)。5 小節( 4 分休符、 16 分 Ab,  8 分 G , 16 分 F , タイ、 4 分 F ,  8 分休符、 8 分 Ab )。 6 小節(全休符)。

3 ~ 4 小節は、 DbM7 / F  に対して、F エオリアン スケールである。5 小節は、 F ドリアン( F エオリアンでもある)。

 

7 ~10 小節   7 小節(付点 8 分休符、16 分 F , 8 分 F ,  16 分休符、16分 F , 8 分 G , 16 分休符、16 分 F , 8 分 F , 8 分 G )。8 小節( 8 分Ab , 8 分 G,  4 分休符、4 分休符、16分A 2 個、16分休符、16 分A )。 9 小節( 8 分G, 付点 4 分 F , 4 分休符、16 分の連続、E , F, G, Ab )。 10 小節(4 分G ,タイ、16 分G , 付点 8 分F , 4 分休符、 8 分の連続 Ab, B )。

7 ~ 8 小節は、 Fエオリアン。9 ~10 小節は、基本的には F ドリアン( F エオリアン)。 9 小節 4 拍目の最初ナチュラルE 音は、グリスノート。10 小節 4 拍目の裏 ナチュラルBは、 F エオリアン b5 のスケール音と見るか、ブルーノート又は、グリスノート。

11 ~ 14 小節   11 小節( 付点 8 分 C , 16 分連続 Bb , Ab , A , 8 分 Ab , 4 分 G , 付点 8 分 F , 16 分 E )。12小節( 16 分Eb , 16 分 Db , 8 分 C , 2 分休符)。 13 小節( 全休符)。 14 小節(全休符)。

11 小節は、 F エオリアン。 2 拍目のナチュラル A は、グリスノート。最後のナチュラル E は、次の Eb へのグリスノート。 12 小節も F エオリアン。

15 ~ 18 小節   15 小節(4 分 Eb , タイ、 1 拍 3 連の連続、 Eb , Db , C , 16 分休符、16分連続 Bb ,Bb ,Bb , Ab ,G , F , E )。 16 小節( 16 分連続 Eb, Db , C , B , 4 分 Bb , 4 分休符、 16 分連続 Eb , Eb , 16 分休符、 16 分 C )。 17 小節( 16 分連続 C ,C,  8 分休符、 4 分休符、 8 分連続、 Db , C , 付点 8 分休符, 16 分 Bb )。 18 小節( 8 分 A , 8 分 Ab , 2 分 G , 16 分連続 C , B , C , B )。

15 ~ 16 小節は、 F エオリアン。 15 小節最後のナチュラルE は、次の Eb  へのグリスノート。 17 小節は、 F ドリアンのはずだが、 3 拍表に Db があり、 F エオリアンとなっている。18 小節も F エオリアン。18 小節 1 拍表、ナチュラル A , 4 拍目のナチュラル B は、共にグリスノート。 17 小節の Db は、 C に向かうグリスノートと見ることも出来るが、コードチェンジも無視して、 F エオリアン 1 発で吹いてるの見るほうがよいだろう。

19 ~ 24 小節   19 小節( 16 分 C , B ,の連続)。 20 小節(全休符)。  21 小節( 2 分休符、 4 分休符、 4 分 A , タイ)。 22 小節(タイ、付点 4 分 F , 8 分 A , 8 分休符、  8 分 G , 4 分 Ab )。 23 小節( 16 分 G , 16 分 F , 8 分 Eb , 4 分休符、 2 分休符)。 24 小節( 8 分 F , 8 分  G , 4 分 Ab , 8 分連続 F , Eb , Db , C )。

19 小節は、C , B の連続。 B はグリスノートと考える。22 小節、 1 拍 2 拍は、 F ミクソリディアン。 3 拍 4 拍は、 F エオリアン。 23 小節、24 小節  共に Fエオリアン。

25 ~28小節    25 小節( 4 分 C , 2 分休符、16 分 Bb , 8 分 C , 16 分 Bb )。 26 小節( 16 分 Bb 2個、 8 分休符、 8 分休符、 16 分連続 Db, F . Eb , Ab ,G , A , Bb , A , 8 分 Bb )。 27 小節( 4 分休符、 8 分 Bb , 16 分連続 Ab , Bb ,  B , Db , 8 分休符、 8 分 B , 8 分 Db )。 28 小節( 8 分 B , 16 分 Db , 16 分 Eb , 16 分休符、 16 分連続 F , G , Ab , G , Gb , F , E , Eb , Db , B , A ,)。

25~ 26 小節は、 F エオリアン。 26 小節 3 拍目 4 拍目のナチュラル A は、グリスノート。 27 小節も F エオリアン。 ナチュラル B は、ブルーノートまたは、 F エオリアン b5 スケール の音。 28 小節は、半音階の混じった  Fエオリアン b5 スケール。最後のナチュラル A は、次の Bb へのグリスノート。

 29 ~ 32 小節     29 小節( 8 分 Bb , 16 分 A , 16 分 G , 4 分 Ab , 4 分休符、 8 分 Bb , 16 分休符、 16 分 Bb )。  30 小節( 16 分 Bb , 16 分 Bb , 8 分休符、 8 分 C , 8 分休符、 8 分 Db , 8 分休符、 8 分 Eb , 16 分 E , 16 分 F , タイ)。  31 小節( タイ、 付点 2 分 F、 8 分 Eb , 8 分 Db )。  32 小節( 16分 C , 16 分 Db , 8 分 C , 2 分休符)。

29小節 1 拍目裏から 2 拍目にかけてディレイドリゾルヴ。 30 小節 4 拍目は、半音階。 この 29 から 32 小節も Fエオリアン。 32 小節は、イントロ 1 小節と同じキメのようである。小節数フリーのアドリブソロではない。ここまでのアドリブソロのおいてもテーマと同様に、 2 度のインターバルの連続が圧倒的に多い。 3 度以上の跳躍はわずかである。 F エオリアンスケールを時々半音階を混ぜながら、上がったり下がったりし、 1 拍以上の休符。その繰り返しだ。また、 F エオリアンからの、明らかな離脱はほとんど行われていない。 22 小節に F ミクソリディアンが一瞬見られ、また、ナチュラルB は、ブルーノート。後は半音階、グリスノートだ。スケールからの離脱をドミナントとするコンセプトの音楽ではない。 

33 ~ 36 小節    33 小節( 8 分 G , 4 分休符、 8 分 G , 2 分休符)。 34 小節( 8分 G , 4分休符、 8分 F , 4分休符、 4 分 G , )。   35 小節( 8分 Ab , 8 分 G , 4 分休符、 付点 8 分休符、 16 分 E 、 8 分 Eb , 8分 Db )。 36 小節( 8分 C , 8分 D 、 4分 C , 4 分休符、 付点 8 分休符、 16 分 Bb )。

33 ~ 35 小節も F エオリアンスケール。 34 小節は、 3 度が 2 つある。 35 小節 3 拍目のナチュラル E は、次のEb に向かうグリスノート。 36 小節は、あきらかに  F ドリアンになっている。スケール離脱と言える。

37 ~ 40 小節    37 小節( 8分 Bb , 8 分休符、4 分Bb , タイ、16 分Bb,  16 分 Ab , 16 分休符、16分連続 Ab , Ab ,  G  , 16 分休符、 16 分 G , タイ)。38 小節( タイ、 4 分 G , 4 分休符、2 分休符)。 39 小節( 付点 2 分休符、 8 分休符、 16 分 Db ,  16 分 F )。 40 小節( 16 分連続 Eb , F , G ,A , Bb , A , Ab , Bb , B , Db , Eb , F , 装飾音 G Ab , 8 分 Gb ,)。

37 ~ 39 小節まで F エオリアン。 40 小節は、イントロ 1 小節と同じキメになっている。 40 小節 1 拍目は、 F ミクソリディアン。 2 拍目クロマチックライン。 2 拍目の裏拍から装飾音まで、 G アルタード。 又は、 2 拍目の頭から装飾音まで半音階の混ざった  F エオリアンb5 スケールとも言える。 1 拍目から 3 拍目までは、キメのコードを無視しているが、 4 拍目の Gb は、キメのコードに合わせている。 1 拍づづコードが変化するところのアドリブは、コード分散的にやるかコードを無視してブルースでやる  2 通りある。このキメは、テーマのB メロの真ん中のキメである。フレーズのインターバルは、ほとんどが 2 度になっている。

41 ~ 44 小節    41小節( 4 分Db , 付点 8 分C , 16 分連続 Bb , Ab , A , Ab , 4 分休符)。42 小節( 4 分休符、16 分 Ab , 16 分 A , 8 分 G , タイ、4 分 G , 付点 8 分 Eb , 16 分 F , タイ)。 43 小節(タイ、4 分 F , 2 分休符、 16 分連続 Ab , A ,Ab , G ,タイ)。 44 小節(タイ、 16 分G , 16 分 F ,8分 Eb , 4 分休符、16 分 Ab ,16分F , 8分休符、 8 分 F , 8分 G)。

41 ~ 44 小節。基本的に F エオリアン。41小節 3 拍目、 42 小節 2 拍目、 43 小節 4 拍目のクロマチックな動きのナチュラルA が、効果的でフレーズにドミナント感が加わる。

45 ~ 48 小節    45 小節( 8 分 Ab , 付点 4 分休符、 8 分休符、8 分 D , 8 分 Db ,32 分連続 Eb , Db , B )。 46 小節( 4分 C , 8分 C , 16 分休符、16 分 Bb , タイ、16 分連続 Bb , Ab , G , Ab , 8 分G , 8分F ,)。47 小節(8 分Eb , 8分休符、付点 2 分休符)。 48 小節(付点 2 分休符、付点 8 分休符、16 分 C )。

45 小節 3 拍目の裏のナチュラルD は、オクターブ離れているが、半音のグリスノート。 4 拍目最後ののナチュラル B もグリスノート。45 ~ 46 小節、 F エオリアンである。 48 小節は、ワンコーラス最後のキメになっている。

49 ~ 51 小節    49 小節( 16 分 F , 8 分 Ab , 16 分連続 Ab , Bb , C , Db ,C , Bb , Ab , 8 分連続 G , Ab , G )。 50 小節( 2 分 F , タイ、8 分 F , 8 分 G , タイ、付点 8 分 G , 32 分連続 F , E ,)。 51 小節( 付点 8 分 Eb , 16 分 C , タイ、付点 2 分 C )。

49 ~ 51 小節まで F エオリアン。 50 小節最後のナチュラル E は、グリスノーt。 51 小節の短 3 度以外、すべて 2 度でフレーズしている。2015/07/03(完)

 

 

 

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