ボサノバ・・・ダイアナ・クラール、アストラッド・ジルベルト、サリナ・ジョーンズ それぞれのクワイエット・ナイツ(1)

ダイアン・クラールのCD “クワイエット・ナイツ” の 9 曲目で聞ける。
録音に際し、クリックは使用していない。テンポは 95~98 である。ほぼ完璧なテンポキープだ。このテンポは非常にテンポキープしにくい。普通はかなり速くなってしまうテンポだ。この曲では、イントロは 95、唄になって 96、そして間奏が 98位と徐々に速くなっている。一様に少しづつ速くなっている訳ではない。唄のところでは 96~97 の間を微妙に行ったり来たり揺れている。そして間奏で 97~98 の間を揺れて、2コーラス目の唄で 96~97 の揺れに戻っている。そしてエンディングは、また97~98の間を揺れている。
これをどう考えるのか? たまたまこうなったという考え方が一つ。もう一つは最初から全体のテンポの構成を決めていたということ。例えば、ゆったりした暗いイントロから始まり、唄に入ってもまだ十分に暗い。そこで間奏は少し明るく変化をつけて、また暗い唄に戻っていく・・・こんな具合だ。

どっちにしろ奏者がやっていることはこうだ。各々テンポのキープ力があるとして、相手の一つ目の音が鳴って二つ目の音が鳴った瞬間に、相手の感じている 1 拍の長さと自分が感じている 1 拍の長さの誤差を認知して、互いに相手側に寄せるという修正を無意識に行っている。相手の音に影響されるのは避けられないということだ。

ということは、いい奏者ほど相手を選ぶことになる。テンポ感のない奏者、タイミングの遅れる奏者、どちらもお断りということだ。一緒に演奏は出来ない。自分が何年もかけて磨き上げて来たフレーズが崩れるからだ。プロがアマと演りたがらない一番の理由はこれだ。

この曲はイントロ、唄、間奏、それぞれの時間において数字的には 1 の間で揺れている。各奏者、卓越したテンポキープ力を持っていると言える。(つづく)

アストラッド・ジルベルト は (3)に、 サリナ・ジョーンズ は (4)にある。

音に何かを乗せる・・・美しい音とは

音の長さ(テンポのキープ力)

音の先端(アタック)を合わせれば、2つの音が同時に聞こえるかという問題

英語と日本語のタイミングの違い(改)

HKT 森保 まどかのピアノ演奏(異邦人)について・・・