ポップス・JAZZ・ロックの発声法

ポップス・JAZZ・ロックの発声法

 
 ボーカリストにとって良いボイストーンとは何なのか。
それが決まって初めて発声法をどうするかになるわけである。
発声法が最初にあるわけではない。
ボーカリストの頭の中に欲しいボイストーンのイメージがあって、それに近いものが、そのボーカリストにとって良いボイストーンなのだろう。
クラシックの声楽でも発声法は一つではない。日本のポップスにおいてはEGOISTから小柳ゆきまであるわけである。両極端の二人だが、どちらの声が上とか下とか決めるべきものではない。大きくは好みの問題でもある。音楽の質とは別のものである。結局、唄えばボーカルなのだ。
 小柳ゆきの発声法は遠くへ飛ばすやり方である。遠くへ飛ばす=クラシックの声楽の発声法ではないが、クラシックの発声法も遠くへ飛ばす発声法の一つなので多くのボーカル教室では、クラシックの発声法をベースにした発声法を教えている。これは声楽家、声楽研究家の文献がいくつか残っていて、発声法として確立され、声楽を目指す人々がそれに基づいてトレーニングしてきた歴史があるからだ。これをそのまま、ポップスやロックに当てはめるわけには行かないので、あくまでもベースである。簡単にいうと、声帯で発生した声を体の部位(声区と呼んでいる)に響かせて声を大きくするということだ。高い声は頭、中音はのどや鼻、低音は胸に響かせるが、響かせる部位の呼び方は頭に響かせる場合、頭声とかヘッドボイスとか呼ばれている。頭声と言っても実感として、おでこの表面を含めて頭の内側 3cm位の部分が一番鳴るが、顔を含め、のど、胸も少し鳴っている。逆に胸声の時も頭が少し鳴っているし、腹もわずかに鳴っている。ミックストーンが声部のミックスであるならば、あらゆる声がミックストーンであるわけだ。うら声と地声(表声)はミックスできない。うら声と地声を意識しないでなめらかに繋ぐことは出来る様になるが、本人が意識してないだけで、うら声はうら声であり、地声は地声である。うら声も胸に響かせたり、ノイズを混ぜたりすることで、地声とかわらないほど、太く強い声になる。ヘヴィメタルが良い例だ。
 この声楽をベースにした発声法は遠くへ飛ばす発声法の中の一つである。日本の民謡や沖縄の民謡、演歌なども遠くへ飛ばす発声法であり、世界にはもっとたくさんの遠くへ飛ばす発声法があるはずで、それらを否定すべきではない。また現代ではボーカルはマイクを通すので、必要以上に大きくなくても、強い声でなくてもいいわけだ。EGOIST、もちろんOK。唄えばボーカルなのだ。ビリーホリディのサテンの女、酒と薬でボロボロのしわがれ声である。声量もない。でもすごい歌だ。
 どの発声法であれ、それをマスターすればピッチ(音程)が良くなるわけではない。リズムが良くなるわけでも、表現力が増すわけでもない。ギターで言えば30万円のギターを手に入れたのと同じだろう。30万円のギターを手にすればギターが弾けるわけではない。2014/05
 
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